山彦先生のわかる法律
 
★このコーナーは、あさひ法律事務所の佐野総信弁護士の情報提供により連載しています。
 

第十章 家庭生活

家庭法と生活 その6−離婚(1)

結婚生活には楽しい事ばかりでなく、悲惨な紛争に巻き込まれる事も少なくありません。以前にも述べました様にオーストラリアの離婚率は非常に高く、そのため夫婦間の財産、子供に対する権利などをめぐるトラブルが多く発生します。この離婚数を増加させたのが1975年の連邦家庭法の改正で、”irretrievable breakdown of the marriage, measured as the separation of the spouses for at least one year”とされ、一年の婚姻破綻により、離婚が成立します。このため法改正直後の1976年には、オーストラリア人口的割合からすると記録的な離婚(63,230件)をオーストラリア家庭裁判所にて申請受理が記録され、これまでにこれ以上の数的記録を更新していません。これは1975年まで離婚を抑えてきた人々が一気に法改正と共にたまった申請を提示し、許可されたためによるものです。国際結婚の場合に、何か紛争が発生した時には、子供の扱い、財産分与なども含めて、早期に弁護士に相談する事が好ましいです。今回の内容はそのためにも必要な重要事項をまとめ、離婚について2回に亘り、その1とその2の概要をまとめてみました。

オーストラリアのThe Family Law Act 1974 (Cth)にて婚姻者による離婚申請としての離婚訴訟が連邦家庭裁判所(The Family Court of Australia)または、連邦簡易裁判所(Federal Magistrate Court)により離婚(the dissolution of marriage)の審理が開廷されます。この場合、子供の福祉(the welfare of the children)が離婚の当事者で合意に達していれば、審理が容易に臨む事ができます。
離婚の条件としては:
婚姻が破綻状態(irretrievable breakdown)に到達している事で、その証拠としては、
−12ヶ月(丸一年)別居を継続している事、及び
−婚姻当事者が健全な婚姻の同居状態に戻らない。
という内容である事が必要です。

一つの屋根の下に暮らしていても事実上の“別居”状態に至る事ができます。この場合、下記のような証拠が必要とされます:
− 離婚の当事者間に性生活が存在しない事。
− 結婚生活に必要な社会的活動が存在しない事。
− 日常の生活を営んでいない事。

日本人がオーストラリアのいずれの裁判所に離婚訴訟を提訴する管轄権は、以下の様な場合に限られます:
婚姻のいずれかがオーストラリア市民である事、または
− 本籍地(Domicile)オーストラリアである事、または
− 通常の居住地がオーストラリアで、一年以上オーストラリアに居住している事。
もし、観光または、学生ビザなどで一時的に滞在している場合は、日本国内の戸籍の変動で婚姻を解消する事が出来ます。

すなわち、日本国内で離婚する場合、協議離婚または調停離婚により、夫婦のいずれかが上記以外で日本に常居所を有している場合、日本の法律に従い、離婚が成立します。従い、オーストラリア国籍を有しない子供のない非永住者の日本人同士であれば、家庭裁判所の手続は必要なく、日本の戸籍上で離婚する事が可能です。しかし、オーストラリア国籍を有する子供、オーストラリア国内での財産を有している場合は、オーストラリアが裁判の管轄権を有しますので、オーストラリア家庭裁判所で離婚申請をする必要があります。いずれにしても、離婚解消申請(the dissolution of marriage)には、当事者がオーストラリアの管轄権に離婚をする証明が必要となります。

尚、離婚申請等は、家庭裁判所のホームページhttp://www.familycourt.gov.auにDo-it-Yourself Kitに掲載されていますので、弁護士に依頼しなくとも容易な案件は自分で処理できます。

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