山彦先生のわかる法律
 
★このコーナーは、あさひ法律事務所の佐野総信弁護士の情報提供により連載しています。
 

第十章 家庭生活

家庭法と生活 その4−出産と子供(1)− 一般

オーストラリアはアメリカ合衆国と異なり、子供の出産時の国籍の取得について、出生地主義でなく血統主義を採用しているため、オーストラリア国内で日本人同士間で永住権もしくは市民権も有しない両親がオーストラリア国内にて、子供を出産しても子供は市民権が得られません。すなわち、両親のいずれかが市民権または永住権を有していなければ子供も同様に市民権が得られないというものです。しかし、1986年8月20日以前は、オーストラリアも戦後の人口増加促進政策のため、アメリカ合州国と同様な属地主義を採用していたため、日本人の両親であっても国内で出産すれば子供だけはオーストラリア市民権を獲得し、オーストラリアパスポートを得て、継続して居住する事が可能とされた事もありました。しかし、これは、現在では存在しません。 今回のシリーズのため、今回はオーストラリアで夫婦の何れかが永住権を所有し、その結果出産した子供についてのみ、説明したいと思います。

出産
子供は、オーストラリア国内で出産すると、外国人または、オーストラリア人の子供であるか否かを問わず、医師の証明によるBirth Certificatesが作成され、それぞれの州の出生、死亡及び結婚に関する登記官(Registrar General of Registry of Births Deaths and Marriages)に出生が登録され、出生証明(Birth Certificate)が作成されます。そして、一般的に日本市民同士の嫡出子であれば、日本の平常の手続を取り、戸籍に入籍させられ、日本人として登録されます。また、いずれかが、オーストラリア国籍または、永住権を所有していれば、Certificate of Citizenshipと呼ばれる市民権証書が申し出により、移民省より発行されます。従い、出産の登録は州政府の管轄で、市民権は移民省の管轄となります。また、日本の場合、出産は市町村役場で、国籍は、特に必要なく、帰化する場合などは法務局の担当となります。

子供の名前は、特に出産時の出生証明書(Birth Certificate)申請時に指定がなければ、自動的に父親の姓を名乗ることになります。しかし、申請により、父親及び母親の姓の組み合わせまたは、母親の姓だけを名乗る事ができます。出生証明書は、両親または、父親の同意によって、父親の名前を記入できますが、もし、父親が出生証明書に署名する事に同意しなければ、父親の名前が載りません。もし、父親が同意せず、父親欄が無記名の時は母親の姓が子供の姓となります。また、父親と母親の組合姓も付ける事も出来ます。

養子
他の子供を養子にもらう場合、クイーンズランド州では、Adoption of Children Act 1964(Qld)という法律により、養子縁組の方法及び、縁組両親の範囲が制限されています。養子縁組はクイーンズランド政府の家族、青年及び社会省(Department of Families Youth and Community Care)によって管理され、同省を通じて養子縁組を実施する事が出来ます。従い、一般人が養子縁組を紹介する事は禁止されています。

養子縁組は日本とは違い、誰でも年令制限なく許可されるものではありません。それは日本では、養子を採用する時、養親の年令に関係なく養子を迎え得る事が出来ますが、オーストラリアでは、子供の将来の福祉を考え、あまり高年齢者の養子縁組は養子の特別の事情(身障者)などの事情がない限り、禁止しているものです。規制の概要としては、養親は、男性が18才から36才で、女性が16才から36才までとされ、子供が1人いる場合は、限度は40才まで延長されます。この場合に、それぞれ既婚者に限定されます。外国人の養子の場合は、これが多少延長されます。

一旦養子縁組が成立すると、養親が養育の義務を負い、法定相続なども、実親ではなく養親から受ける事になります。

Copyright (C) 2000-2003
GOSHU KAWARABAN PTY LTD All Rights Reserved.