山彦先生のわかる法律
 
★このコーナーは、あさひ法律事務所の佐野総信弁護士の情報提供により連載しています。
 

第十章 家庭生活

家庭法と生活 その3−結婚と移民の手続

日本の婚姻の場合は日本国内で結婚した場合、戸籍役場に届出を出せば、結婚成立となります。しかし、オーストラリアの場合は、Marriage Celebrantまたは牧師さんの前で婚姻し、Marriage Certificateに18才以上の証人2名と共に署名し、それを14日以内にRegistrar General of Registry of Births Deaths and Marriagesに登録する事により、結婚が成立します。尚、結婚する場は飛行機の中、映画館など場所は問いません。

オーストラリアでの婚姻の手続としては、“婚姻の通知”(Notice of intention to marry)をMinister of religionまたはCivil Marriage Celebrantに婚姻予定日から最低1ヶ月以上最高6ヶ月までの期間内に通知を出し、結婚する意思がある事を告知致します。この際には、出生証明書(Birth Certificate、日本人の場合、戸籍謄本又は抄本)と結婚が可能である身分を証明する宣誓書(Statutory declaration)に署名が必要とされます。オーストラリアにおいては夫婦の姓は結婚したからといって名前を夫の姓にしなければならないという必要性はありません。オーストラリアは、アメリカ合衆国、イギリスなどと同様に婚姻時の氏制度は、@自分の氏、A相手方の氏、B結合氏など、原則自由とされています。その一方、日本は、現行の民法では、夫か妻のどちらかの姓を名乗る事としています。

従い、オーストラリアでは婚姻手続が日本のその手続とは多少異なります。その主な要因として、オーストラリアには戸籍が存在せず、Marriage CertificateまたはBirth Certificateが存在し、それが事物の発生の登録なのです。その反対に日本ではそのような証明書が存在しませんので、婚姻により、戸籍という“家”の単位が設立され、それにより、家族構成員が増減します。

また、遠く離れた外国で結婚したりする場合、やはり調べておかなければならない事は、相手が重婚に至っていないかです。日本人の場合、この重婚を調べる方法として、個人の身分関係を表した戸籍としての謄本または抄本入手する事により正確に判明致します。この場合、謄本は戸籍全部コピーであり、抄本は本人部分のコピーですので、その部分に記載されていますので容易に判明できます。これにより民法の結婚の要件を満たしているかを確認する事が出来るのです。しかしオーストラリアの場合、日本の様な身分関係を証明する書類はありませんので、オーストラリア人の場合はオーストラリア家庭裁判所のResolution of MarriageとしてのDecree absoluteを見て判断する方法です。前回の離婚が新しければ、問題がありませんが、古い場合には、相手を信じるか、またはそれ以来結婚のMarriage Certificateが登録されていないかを前記登記所にて調査する事が出来ますが、オーストラリア国外で結婚した内容まで調査する事は不可能です。これで婚姻は設立です。そして楽しい結婚生活を送る事になります。 しかし、オーストラリアでは男女が平等に自己の身分上の権利を主張できるため、このため日本の社会よりも家庭法の紛争が頻繁に発生し、家族同士の裁判が生活の中に溶け込んでいます。オーストラリア家庭裁判所(The Family Court of Australia)はオーストラリアの裁判所の中で最も忙しい裁判所とされています。 次回は、婚姻後の夫婦の子供について説明したいと思います。

 

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