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★このコーナーは、あさひ法律事務所の佐野総信弁護士の情報提供により連載しています。
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第四章 裁判所 陪審員制度 陪審員による裁判手続き制度は、オーストラリア憲法により保障されています。憲法80条によりますと、“刑事事件として国家が実施する第一審は陪審員による公判が実施され、その管理は州政府の範囲とされる”と規定されています。その結果、裁判所による有罪か無罪かを決定する容疑者の事実関係の認定は、理性ある一般人(reasonable person)としての陪審員に委ねられています。しかも陪審員の評決(Verdict)としての決定は、漠然と有罪を決定するのでなく、満場一致(Unanimous)の決定とされ、陪審員の一人でもこの決定に欠ける事は出来ません。もし満場一致の評決がなされなければ、評決不成立(Hang verdict)として裁判が決定することはできず、いかに法の“裁き”が厳しいものと言えます。そのような状態の場合、初公判再審として“やり直し”が必要となります。この満場一致の必要性については連邦裁判所にて争われた判例においても“満場一致の必要性”を同様に説き、近代にてもこの厳粛制は変わらずといったところです。 陪審員を組織することをパネルの構成(Empanelling of Jury)と呼ばれ、その際は、弁護側弁護士により、弁護側に有利な陪審員を法廷内にて組織し、弁護を少しでも有利に展開しようと致します(例:米国でのシンプソン事件)。一般に陪審員は州の選挙人名簿に基づき招集された人達により組織されることになります。そして公判の開始される当日、法廷内で選考(Selection)が実施され、クイーンズランド州では12人の“理性のある一般人”を選考することになります。勿論選考の段階で、弁護側に不利に働くと考えられる陪審員は排除(Challenge)され除かれます。そして、めでたく12人を選出するものです。しかも、それでもその後呼び出される証人に利害関連のある陪審員は、選出されても任務を解かれ(Discharge)、他の陪審員が起用されることになります。このようにして陪審員を決定し、裁判が展開される訳です。そのため近年この“厳しさ”から来る陪審員のあり方が批判され、満場一致を廃止するべきとする動きがあります。しかし、容疑者の有罪を決定する事実の認定のため大変な配慮が必要なのです。 米国には予備としての予審にも、陪審員としての大陪審(Grand Jury)を起用し、そのうち半数が有罪と決定すれば、起訴されるとされています。しかし豪州は英国にならいこれを廃止しており、陪審員は正式起訴が行われた場合にのみ起用されています。裁判の口頭弁論が終了した時には、まとめ役として指揮指導するのが、冒頭陳述を聞いた裁判官であり、この行為を“Summing up”(まとめ)と呼ばれます。もし裁判官が事実関係を判断して「有罪」と思料するならば、その時の事実を陪審員に言い聞かせます。またその反対に無罪であるならば、その事実を説明し、評決を出すべきと促します。一端陪審員の事実関係評決が出ると、手続き上に瑕疵がなければそれを覆すことができません。従い、日本人の皆さんが豪州市民となり、陪審員に呼び出された時は、この点を理解の上、陪審員を務めるべきと考えます。
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