山彦先生のわかる法律
 
★このコーナーは、あさひ法律事務所の佐野総信弁護士の情報提供により連載しています。
 

第四章 裁判所

クイーンズランド州の裁判所制度と地方裁判所

クイーンズランド州にて簡易裁判所の次に私たちに身近な裁判所は、地方裁判所です。地方裁判所はクイーンズランド州の5つの市に存在しています。それらは、ブリスベン、サウスポート、ロックハンプトン、タウンズビル、ケアンズです。日本では各都道府県にそれぞれ点在し、主要都市には支部も設けられていますので、裁判所制度は、日本と同様であるようですが、数的には日本の方が多いです。また、地方裁判所は、私たちが始めて陪審員と接する裁判所であります。そこには、民事部と刑事部により構成されております。民事部においては、その紛争の大きさが全額により、50,000豪ドル以上250,000豪ドルまでの事件を処理されることになっています。係争可能な人格としての当事者は、個人は勿論会社、パートナーシップ、商号所有者としての個人小企業、政府など様々です。この民事部にては、特に指定しなければ陪審員を用いる必要はなく、必要当事者及び案件により必要とされます。民事の場合、陪審員を起用する場合は最低4人からとなっています。しかし、これが刑事部になりますと、全ての取り扱い事件がIndictable offence(Crimeと呼ばれる犯罪とMisdemeanorと呼ばれる軽罪)に限られますので、全ての刑事部の事件は陪審員を使用しなければなりません。しかし、この刑事部の陪審員の費用は全てクイーンズランド州政府の負担となります。また刑事部にては簡易裁判所からの控訴も地方裁判所にて実施されます。殆どの審理が判事一人で実施し、合議制はめったにありません。当然これらの民事部と刑事部の裁判において、Solicitor(事務弁護士)及び、またはBarrister(法廷弁護士)を雇用し弁護を依頼することができます。しかし、裁判はどの段階においても、当事者自ら自分で事件を弁論することができ、このような場合、Self Actingと呼ばれます。

刑事部では容疑者は保釈が許可されていない限り、刑務所またはWatchhouseと呼ばれる留置場から連行され裁判所の法廷の中にある扉を経て法廷に連れてこられます。これをRemanded in custodyと呼ばれます。保釈(Bail)が認めらると、条件付きで帰宅することができます。

地方裁判所では警察官による訴訟手続きは行われなく、州政府司法省の検事が訴訟を担当します。ここは簡易裁判所と異なるところです。また連邦政府の事件(薬物、税関法違反など)は連邦政府の司法省担当が当たります。刑事事件としては、簡易裁判所にて予備審問を終了し、初公判に付せられる事件で刑が14年までの事件を地方裁判所が取り扱います。それ以上は最高裁判所が取り扱います。

初公判にては、陪審員の選択、罪状認否、冒頭陳述、証人喚問、最終口頭弁論、陪審員の評決そして量刑言い渡しの順で手続きが進行致します。もし陪審員の評決が無罪であれば、量刑言い渡しはありません。そして容疑者はそのまま法廷から自由に退出が許可され、帰宅することができます。

民事の場合、当事者に検事は存在せず、それぞれの当事者または法廷代理人としての弁護士が両者の事件に出頭し、冒頭陳述、証人喚問そして最終口頭弁論と手続きを経て行きます。そして訴訟の事実関係が判事により決定されます。陪審員は名誉毀損等の一部の事件を除きほとんど使用されません。陪審員は当事者の費用負担となります。そして判事は損害賠償金を決定し、支払い命令、確認請求事項を決定し、結審します。

当事者及び被告が地方裁判所の判決に不満足であるならば、最高裁判所内にある控訴院に上訴することができます。控訴院は上訴、上告をするだけの裁判所です。控訴院は3名の判事による合議制となっています。

 

 

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